山田哲司先生講演会
「大気モデルと流体力学モデルの機能を結合した
 都市大気環境シミュレーションモデルの開発と応用」


Mellor-Yamadaモデルの開発者として著名な山田哲司先生が3月4日に東北大にお越しになります。
この機会に先生の最近のご研究に関する講演会を下記のように企画致しました。
お誘い合わせの上、奮ってご参加下さいますようお願いします。
なお、一部の方々には3月15日開催ということでご案内しておりましたが、
山田先生のご都合で3月4日に変更となりましたのでご注意下さい。

日  時:2004年3月4日(月)14:00〜16:00
場  所:東北大学工学部人間・環境系研究棟(土木・建築の建物です)
     1階大会議室
主  催:日本建築学会東北支部環境工学部会

・仙台駅から青葉山までの地図と青葉山キャンパス内の人間・環境系研究棟
の位置については、

http://vjogi.pln.archi.tohoku.ac.jp/labs-pages/kankyo/intro/place.htm

をご覧下さい。また、人間・環境系の建物内の会議室の位置については、
こちら(PDF)をご覧下さい。

講演概要:
 建物の周りの気流のシミュレーションには流体力学モデルが適しており、地形の
影響を受ける局地風のシミュレーションには大気乱流モデルが有効である。流体力
学と大気乱流モデルの機能を結合すれば気象の日変化の影響を受ける複雑地形上の
都市の気流・拡散の解明に役立つと考えられる。
 大気乱流モデルの結果を流体力学モデルの境界条件として建物周りの気流シミュ
レーションを行う手法はすでに応用されている。また、単一のモデルで大気と流体
の両方の現象を取り扱うモデルも最近開発されつつある。後者では大気のスケール
から流体のスケールまで一環した物理方程式、数値解法を用いるという特長があ
る。
 本講演では都市環境の気流・拡散シミュレーションについて最近の動向と今後の
課題について考察する。また、2004年1月にワシントン州、シアトル市で米国気象
学会主催で開催される "大気乱流モデルと流体力学モデルの結合"に関するワーク
ショップの結果についても紹介する予定である。

山田哲司先生の略歴:
 大阪大学工学部から1965年に学士号、1967年に修士号を取得、フルブライト留学
生として1967年に渡米、コロラド州立大学から"密度成層のある大気境界層の数値
モデルと風洞実験"の論文で1971年に博士号を取得。1972年から1976年までニュー
ジャージー州のプリンストン大学の研究員、そこでメラー教授と共同で、"Mellor
and Yamadaの乱流クロージャーモデル"の開発を行う。このモデルは1000以上の論
文に引用され、現在、米国を始め、ヨーロッパ、日本、台湾、メキシコ、カナダそ
の他の国々で大気及び海洋のモデルに広く採用されている。
 1976年から1981年までイリノイ州のアルゴンヌ国立研究所に勤務、複雑地形上の
大気の流れを予測するモデルHOTMACと大気中の浮遊物質の輸送・拡散を予測するモ
デルRAPTADの開発を始める。1981年から1990年10月まで米国ニューメキシコ州のロ
スアラモス国立研究所でメソスケール気象モデルのチームリーダーとして3次元大
気予測数値モデルの開発、改良、応用、観測値との検証に従事し、現在までに60以
上の論文、レポートを発表。日本気象学会から1984年度学会賞を受賞。また1990年
には出身校のコロラド州立大学から卒業生に対して贈られる最高の栄誉
"Distinguished Service Award"を受賞。1988年には台湾ナショナルサイエンスカ
ウンセルと中国ナショナルアカデミーオブサイエンスから招待され大気乱流境界層
の講義をする。米国内、国際会議でのキーノートスピーカー、インバイテッドス
ピーカー、チャーマン、米国酸性雨モデルプロジェクトのレビュー委員、米国
SCENESプロジェクトの気象委員、米国エネルギー省アスコットプロジェクトのモデ
ルグループリーダーを歴任。また米国厚生省主催のリスクアセスメントの公聴会に
気象の専門家として招待を受ける。
民間技術移転第一号として、3次元大気乱流拡散モデルHOTMAC/RAPTADの独占販売
権をロスアラモス国立研究所から取得。その商品化とユーザーサポートのため、米
国法人Yamada Science and Art Corporation (YSA)を1989年に設立、大気乱流拡散
の研究、YSAの事業活動に専念。日本、東南アジアでの活動の拠点として1999年
8月、東京に有限会社ワイエスエージャパンを設立。
米国気象学会委員会「大気質に関する気象」の委員長(2001-2004)に任命され
た。